体がむき出しの状態で走るバイクにとって、転倒時に体を保護するための装備は欠かせません。 その中でもアベレージスピードが速いサーキット走行では、転倒時のリスクが公道よりも高く、専用の装備が必要となります。
その代表的なものがバイク用レーシングスーツです。 レーシングスーツは別名「レザーつなぎ」とも呼ばれているとおり、本革素材で上下が一体のワンピースになっているのが一般的です。
肘や膝にはプロテクターが入っており、転倒時の体の保護を第一に考えられ、作られています。 ここでは、バイク用レーシングスーツの機能や種類、おすすめのレーシングスーツから、レンタルサービスについても解説します。

レーシングスーツとは
レーシングスーツは主にサーキット走行を目的とした装具となり、ライダーの上半身と下半身を保護できるようなワンピース(つなぎ)タイプ、もしくはツーピース(セパレート)タイプが採用されています。
膝や肘には脱着式のスライダーを装備するものが多く、これらのスライダーは、コーナーリング時に路面に擦ることでバンク角の深さを判断する「バンクセンサー」として機能します。
バイクに跨った時の形に立体裁断されているので、歩いたり食事をしたりするのは不向きですが、レーサーレプリカブームの80~90年代には、ツーリングで着用する人も多くいました。現在でも、スーパースポーツのツーリングでは安全のために着用するライダーも少なくありません。
バイクでサーキット走行する際は、基本的にレーシングスーツを着用していないと走行することができません。 それほど安全のために欠かせない装備といえます。

バイク用レーシングスーツの機能
バイク用レーシングスーツはメイン素材が革で、各部にプロテクターを内蔵しており、グローブとブーツを合わせて着用することで、高い防御性能を発揮することができます。
前面に大きなジッパーを備えており、手首足首もジッパーもしくはニット素材で着脱しやすいようになっています。 関節部分はニット素材やシャーリング加工で曲げやすくなっており、激しいライディングにしっかり追従するような造りになっています。

バイク用レーシングスーツの種類
バイク用レーシングスーツは上半身と下半身が一体となったワンピース型と上下別のセパレート型(ツーピース)に大別することができます。 それぞれに利点を持っており、それらを理解した上でレーシングスーツを選ぶことが重要です。
ワンピース型
ジャケットとパンツが一体となった“つなぎ”タイプのワンピース型がバイク用レーシングスーツの主流となります。
上半身と下半身につなぎ目が無いので、激しく転倒した際に脱げる心配もありません。 サーキットやレースによっては、安全上の観点からセパレート型のレーシングスーツは認められていないこともあるので、サーキットメインで使うことを想定しているのであれば、ワンピース型を選ぶのが近道です。
ワンピース型はセパレート型より脱ぎ着がしづらいのがデメリットとなります。 着用時は歩いたり、座って食事などがしづらいので、ツーリングには不向きだと言えるでしょう。
サーキットでリラックスしたい時には、上半身だけ脱ぐこともできますが、脱いだ部分がスペースをとりますし、動きづらさは残ります。
セパレート型(ツーピース型)
上半身と下半身が別れたセパレート型(ツーピース型)は、それぞれレザージャケットとレザーパンツとして単体で着用できるタイプと、動きやすさのためにツーピースになっているタイプに大別できます。 後者はあくまで、ライディング時の動きやすさを優先したもので、ジャケット丈は短めになります。基本的にジャケット単体での着用はできません。
ツーピースタイプは、ライディングポジションをとった時のフィッティング性が高く、動きやすさやシルエットに優れています。 また、ジャケットだけを気軽に脱ぐことができるので、食事や休憩の機会が多いツーリングにも最適です。
ただし、レースでの着用は認められない場合が多いので、あくまでサーキット体験走行会やツーリング用途としてレーシングスーツを使いたいユーザー向けとなります。

バイク用レーシングスーツの注意点
サーキットではバイクの上でライダーが前後左右に大きく動いて体全体でライディングを行います。 そうした動きにレーシングスーツが追従するには、サイズがしっかり合っていることが大前提となります。
サイズが小さすぎれば動きがスポイルされることになりますし、大きすぎれば走行風でバタついたり、プロテクターの位置がうまく合わなかったりして、安全性にも悪影響が出てしまうのです。だからこそ、レーシングスーツはサイズ選びが重要となります。
また、安全性の面ではワンピース型が優位性を持っており、脱ぎ着の簡便さではセパレート型に分があるのは先にも述べた通りです。
お手入れの面でも注意が必要です。 レーシングスーツはメイン素材がレザーとなるので、湿気が大敵。 雨天時や夏場の汗で濡れたレーシングスーツは専門業者にクリーニングを依頼するか、適切なケミカルを使用してしっかりケアをしておくことが必要となります。

バイク用レーシングスーツ購入時のチェックポイント
レーシングスーツはバイク用品の中でも非常に高価な部類なので、頻繁に買い替えたりせずに長く使い続けたいものです。 そのため、購入時はサイズ選びはもちろんのこと、それ以外にもチェックしておきたいポイントがあります。
レースに出るのであれば、MFJ公認がマスト
国内で行われるMFJ主催のレースにエントリーするためには、ヘルメットだけでなくレーシングスーツもMFJ公認品である必要があります。 出走前にはマシンだけでなく装備品の検査が行われることもあるので、もしレースエントリーを考えているなら、必ずMFJ公認マークの入ったレーシングスーツを選びましょう。
また、肩、肘、膝のプロテクターに追加してCE規格に適合した脊髄プロテクター、胸部プロテクター(チェストプロテクター)の装備も義務付けられているので用意が必要です。
仕様が自分の求めているものになっているか
レーシングスーツは通年で同じものを着用するので、通気のためのパンチングが入っている方が夏場に適しています。一方、冬場はインナーを使った体温調整が必要となります。
デザイン&カラーリングも重要なファクターです。 好みの色で、バイクのカラーとマッチしたものが良いでしょう。
また、レーシングスーツにはブーツインのタイプとブーツアウトのタイプがあります。 裾でブーツを覆うようなブーツインのスタイルの方が、転倒時の引っ掛かりを防ぎやすいという観点もありますし、ブーツアウトの方がバイクをくるぶしでホールドしやすいという意見もあります。
レザー製のレーシングスーツは気軽に洗うことはできません。 裏地のメッシュインナーが外しやすい方が手入れもしやすいので、そうした点に注目するのもおすすめです。

レーシングスーツのおすすめサービス
価格が高く、使用機会の少ないレーシングスーツだからこそ、買わずにレンタルするという選択肢もあります。
また、フィット感が重要なレーシングスーツは、自分の体型に合わせたカスタムオーダーメイドも一般的な購入手段です。
レーシングスーツのレンタル
レーシングスーツは着用する機会が少なく、自宅に保管場所が必要となりますし、価格も高額なので、購入せずにレンタルサービスを利用する方法もあります。
また、レンタルサービスを利用すれば、実際にレーシングスーツを着用してバイクで走ることができるので、店舗で試着するよりも確実なサイズ選びにもなります。購入前のお試し目的にもおすすめです。
レンタルサービスは、メーカーが独自で行っているものや、サーキットで行っているものがあり、基本的に事前予約が必要となります。
メーカーで行っているものは、発送による貸し出しがメインとなるので、実際に着用するタイミングに合わせて申し込む必要があります。 ブーツも合わせてレンタル可能な場合もあるので、事前に確認しておきましょう。
レーシングスーツのカスタム
レーシングスーツは、ジャストサイズで動きやすいことが重要です。 しかし、個々人で体型は異なるので既製サイズのレーシングスーツが自分の体型に合うかどうかはわかりません。
そこでおすすめなのが、レーシングスーツのカスタムオーダーです。 手足の長さから胸囲、ウエスト、ヒップまで自分の体のサイズに合わせてオーダーすれば、抜群のフィット感が得られるのは言うまでもありません。
さらにカラーリングやデザインまで自分の好みに仕立て上げられるのは、カスタムオーダー以外にはありません。 また、体重の増減によってレーシングスーツのフィット感が変わってしまった場合、メーカーによっては細かな手直しに対応してサイズ調整が可能な場合もあります。
長く使うレーシングスーツだからこそ、買ったあとのことも考えて購入するのがおすすめです。

DAINESEのレンタルサービス
DAINESEの「レザースーツレンタルサービス」はホームページか店舗で申し込みを行うもので、期間は貸出日から最大7日間となります。
レンタルできるのは男性用が2種類で女性用が1種類となり、レンタル料金はエアバッグ無しモデルの方は16,500円(税込) エアバッグ有モデルの方は22,000円(税込)となります。レンタルをすると3ヶ月間有効なクーポンが発行されます。
クーポンの特典内容や利用規約についてはウェブサイトを確認してみましょう。
レーシングスーツ購入前の試着用や、ツーリング(エアバッグモデルはサーキット専用)や走行会で着用してみたいという場合には最適なサービスとなります。 その他、レンタルに関する詳細や注意事項はウェブサイトを確認してみましょう。
レンタル対象モデル
DAINESEの「レザースーツレンタルサービス」では男性用2種類、女性用1種類の計3種類のレザースーツを1週間借りることができます。 ここでは、レンタルできる3種類のレザースーツについて、特徴や機能を紹介します。

DAINESEのカスタムワークス
既存ラインナップをベースに体型に合わせたフィットの変更、カラーのカスタマイズ、アクセサリーの追加や変更ができるDAINESEのカスタムワークス。 より自分の体型にフィットしたものを選びたい場合やオリジナルデザインのものを作りたいユーザーに向けたサービスです。
DAINESEホームページにあるコンフィグレーションでオーダー後、DAINESEストアにて採寸やデザインの打ち合わせを行い、イタリア本国のスペシャリストの手作業によって自分だけの一点物のレーシングスーツとして仕上げられます。
もちろん、ロゴやネームなども自由に入れることも可能。
DAINESEのWEBサイトのコンフィグレーターでは、PCやタブレットの画面上でかんたんにレーシングスーツのカラーやアクセサリーの細かな変更がシミュレーションできるので、まずはアクセスしてみてはいかがでしょうか。
思い通りのデザインができたら、実際に最寄りのDAINESEストアに足を運び実際に自分だけのレーシングスーツをオーダーしてみましょう。
DAINESEのCUSTOM WORKS|カスタムワークスについて詳しく見る

おすすめのバイク用レーシングスーツ(ワンピース型)
ダイネーゼのラインナップの中から、サーキットライディングに適したワンピース型のレーシングスーツを紹介します。 いずれも高い安全性と動きやすさを両立しており、細かな仕様変更がオーダーできる「DAINESEカスタムワークス」対応品です。
{{ racing-suits-1pc }}
おすすめのバイク用レーシングスーツ(セパレート型)2選
公道の走行においても安全性や機能性をライディングウェアに求めたいなら、セパレート型のレーシングスーツがおすすめです。 ダイネーゼのセパレート型(ツーピース)は、脱ぎ着のしやすさや動きやすさはそのままに、高い安全性を実現しています。
{{ racing-suits-2pc }}

まとめ
サーキットでのスポーツライディングは高性能マシンの楽しみ方のひとつです。 そんなサーキットを安全かつ快適に楽しむには機能性に優れたレーシングスーツを欠かすことはできません。
また、高速道路を使ったハイスピードツーリングやワイディングを走る際は、やはり機能性と安全性を両立したレーシングスーツの着用がおすすめです。 ダイネーゼのレーシングスーツは、エアバッグシステムD-AIR®を搭載したものから、脱ぎ着がしやすく動きやすさに優れたツーピースまで豊富なラインナップを有します。
また、DAINESEのカスタムワークスによる細かなサイズ調整や仕様変更にも対応。 自分だけのレーシングスーツを作ることもできます。 さらに、レンタルサービスを利用して、愛車に乗って着用感を体感してみるのもおすすめ。
レーシングスーツの購入を考えている人は、まずレンタルしてみてはいかがでしょうか。