安全面を考慮すると雨の日はバイクに乗らない方が良いです。しかし、通勤・通学・仕事などでバイクに乗らなければならないときや、ツーリング中に突然雨が降ってきたというケースもあります。そんなときのために、雨対策についてしっかり考えておきましょう。
今回は、バイクの雨対策で意識したいポイントを、バイカーの意識・車体・装備ごとに解説します。また、おすすめのレインウェアもご紹介するので、雨の日に備えたい方はぜひ参考にしてください。
【バイカーの意識編】バイクの雨対策として意識したいポイント
雨の日にバイクに乗る場合、いつも以上に安全運転を心がける必要があります。
具体的にどのようなことに注意すれば良いのか、まずはバイカーが雨対策として意識したいポイントからご紹介します。 ">
急発進・急加速・急停止は避ける
急発進・急加速・急停止といった動作は、交通事故のリスクを高めるため、必要な状況を除いて普段から避けなければなりません。雨の日は路面が濡れてタイヤがスリップしやすいので、晴天時以上に危険を伴う動作は避けましょう。
首都高速道路株式会社の調査によれば、雨天時の時間当たりの事故件数は晴天時の約7倍も高いといわれています。中でもスリップ事故が多く、速度を落とさずにカーブに進入したときや追い越し時の急加速など、さまざまな状況で事故が発生しています。
とくにカーブの直前や交差点を右左折する際は滑りやすいので、スピードを落とすようにしましょう。また、雨が降っているときだけではなく、降り始めや雨が止んだ後もスリップには十分注意してください。
※参考:首都高ドライバーズサイト
十分な車間距離を保つ
停止時の接触事故を防ぐためにも、雨の日はいつも以上に車間距離を気にしましょう。
雨天時は、タイヤのグリップ力が低下してしまうので、ブレーキをかけても停止するまでに時間がかかります。 いつもと同じ感覚の車間距離で走行していると、停止が間に合わず、前方の車体と接触事故を引き起こす可能性があるでしょう。ゆとりを持ってブレーキをかけるためにも、車間距離は余裕を持っておくことが大切です。
具体的には、晴天時よりも速度を20%程落として、車間距離は50%程増やすと良いとされています。
マンホール・グレーチング・白線の上の走行は極力避ける
雨の日は、マンホール・グレーチング・白線といった人工物も滑りやすい部分です。
マンホールとグレーチングは金属でできているため、濡れている状態だと乾いた状態よりもツルツルと滑りやすくなってしまいます。 金属素材ではないものの、白線も滑り抵抗値が低く、濡れている状態だとさらに数値が低くなるとされています。
各メーカーで滑りにくい路面標示用塗料を開発しているものの、塗料の劣化・老朽化によって表面がなめらかになり、滑りやすくなるケースもあるようです。
このような理由から、雨の日はマンホール・グレーチング・白線の上は極力走行しないようにしましょう。滑りやすい場所を走る際は、なるべく車体を傾けずに立てた状態で走ることがポイントです。
できるだけ高速道路の走行は控える
高速道路を使えば一般道よりも目的地まで短時間で移動できますが、雨の日は極力避けましょう。
高速道路では、当然ながら一般道よりもスピードを出すことができます。雨の日は路面が滑りやすいだけではなく、降水量によっては視界も悪くなるので、スピードを出して走行すれば事故のリスクが高まるでしょう。
また、高速道路は急に土砂降りや突風が吹いても一時停車することが難しく、PA・SAまで移動しなければなりません。その途中で事故に遭ってしまうこともあります。雨の日は高速道路の利用は極力避け、時間に余裕を持って一般道を走行するようにしましょう。走行中に雨が降り始めたときも早めに一般道に降りるようにしてください。

【バイク編】バイクの雨対策として意識したいポイント
雨の日の走行で安全性を高めるために、バイク自体に雨対策をすることも大切です。走行時の対策だけではなく、乗った後のお手入れも重要となります。
続いては、バイク自体に施す雨対策のポイントを見ていきましょう。
グリップ性能の高いタイヤを利用する
雨の日にバイクで走行する場合、グリップ性能に優れたタイヤを装備しましょう。
濡れた路面に対するグリップ性能を指すウェットグリップ性能の高いタイヤであれば、雨の日でもスリップがしづらくブレーキが効きやすくなります。
また、タイヤの排水性能にも注目しましょう。排水性能が高いタイヤなら、進行中に水をはじき飛ばす力が強く、タイヤを路面にしっかり接地できます。 タイヤと路面の間に水が入り込み摩擦力が失われると、ハンドルやブレーキ操作が効かなくなるハイドロプレーニング現象を起こす可能性があります。それを防ぐためにも、ウェットグリップ性能と排水性能の高いタイヤを装備することが大切です。
もともと性能が高いタイヤでも劣化によって性能が下がっていることもあります。タイヤの状態はこまめに確認し、劣化している場合は新しいものに交換するようにしましょう。
安全装置を搭載したバイクに乗る
バイクのモデルによっては、ブレーキ操作を補助する安全装置が搭載されていることがあります。そのようなバイクを使うことで、事故のリスクを減らすことが可能です。
安全装置には、以下などが挙げられます。
搭載システム | 働き |
---|---|
ABS(アンチロック・ブレーキ・システム) | 急停止した際にタイヤがロックするのを防ぐ装置です。タイヤのロックによりハンドルが切れたりすることで、スリップや転倒のリスクを抑えてくれます。 |
CBS(前後輪連動・ブレーキ・システム) | 前後片方のみのブレーキ操作時、両輪でブレーキがかかる装置です。後輪のみでブレーキをかけても、自動的に最適なバランスで前後輪にブレーキをかけてくれるので、制動距離が短縮されます。 |
TCS(トランクションコントロール) | アクセルを開きすぎた際に、リアタイヤが滑るのを防ぐ装置です。これを防ぐことで転倒のリスクを抑えられます。 |
原付二種にはABSまたはCBS、125cc以上のモデルにはASBの搭載が義務付けられています。
2018年10月1日以前に発売された新型車や、2021年10月以前に発売された後続車にはABSやCBSが搭載されていない場合があるので注意しましょう。50cc以下の原付一種には搭載の義務がないので、雨の日に載るのは避けた方が無難です。
濡れた状態でカバーをかけ続けないようにする
屋外にバイクを駐車している人は、雨や汚れからバイクを守るためにカバーを付けることがあります。しかし、雨で濡れた状態でカバーをかけるのは避けましょう。
濡れた状態でカバーをかけるとバイクにサビやカビができてしまう恐れがあります。バイクが濡れたらタオルで拭くか、エアコンプレッサー・エアブローを使って乾燥させてからカバーを付けましょう。
また、カバーの中は湿気がこもりやすいので、雨が止んだ後にカバーを外して再度バイクとカバーを乾燥させるのがおすすめです。湿気を取り除くことで、バイクやカバーにサビ・カビができるのを防げます。
雨水は流しておく
雨の日にバイクに乗ったら、雨水を水道水で洗い流しておきましょう。雨には空気中に舞うホコリなども含まれるので、バイクが汚れてしまう可能性があります。 バイクを綺麗な状態に保つためにも、水洗いをして雨水を流してください。
水洗いが難しい場合、エアコンプレッサーで雨水を弾くだけでもある程度の効果があります。サビ・カビの発生を防ぐためにも、カバーをかけるときだけではなく、車庫・ガレージに保管する際も水気を取った上で保管しましょう。
チェーンにオイルをさす
バイクに付いた雨水を流すだけではなく、チェーンのメンテナンスもしましょう。チェーンオイルが雨によって流されている可能性があります。チェーンはサビやすい部分であるため、オイル不足になると劣化が早まってしまいます。
また、オイルをさす前に、チェーンが泥などで汚れていないか確認することも大切です。汚れたままだとチェーンにしっかりオイルが付着しないため、ブラシやチェーンクリーナーを使って綺麗な状態にしましょう。
オイルがはじかれないように水気を取った上で、オイルをさしてください。 自分でメンテナンスをすることが難しい場合は、メンテナンスが可能なショップに依頼するのもおすすめです。

【装備編】バイクの雨対策として意識したいポイント
雨の日にバイクに乗るときは、バイクだけではなく、バイカー自身も装備を身に付けて雨対策をする必要があります。
ここでは、安全にバイクに乗るためにも、バイカーが雨対策として意識したい装備のポイントをご紹介します。
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クリアなバイザーを使用する
ヘルメットに装着するバイザーは、クリアなものを使用しましょう。
バイザーには、遮光性に優れた色付きのものがありますが、雨の日は視界が悪くなってしまいます。視界が悪くなることで事故のリスクが高まるので、それを防ぐためにもクリアタイプを使うのがおすすめです。
クリアタイプは、辺りが暗くなる夜間に走行することが多いときも視認性を確保しやすくなります。 バイザーの種類については、以下の記事でも解説していますので参考にしてみてください。
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防水ウェアを着用する
走行時に着用するウェアは、防水仕様のものにしましょう。撥水性・防水性に優れたウェアを着ていれば、中の服が濡れる心配が基本ないので、快適に走行できます。
また、防水性の高いウェアを選ぶ際は、通気性も確認することが大切です。通気性のあるウェアなら、衣類の中で発生した熱や湿気を放出できるので、不快感が軽減されます。
ウェアによっては、内側の防水生地を取り外せるタイプもあります。状況に合わせて取り外せば、軽量化や温度調整がしやすくなるでしょう。
レインウェアを常備しておく
レインウェアを常備するのも雨対策として有効です。雨が降るとわかっているのであれば、防水ウェアを着て出かけることができます。しかし、天気予報が外れたときや長距離の運転で天候の変化の予想が難しいときは、防水ウェアを着用せずにバイクに乗っていることもあるでしょう。そんなときにレインウェアがあれば、突然雨が降ってきてもすぐに対応できます。すぐに取り出せるように、サドル下かトップボックスに収納しておくのがおすすめです。
レインウェアには、ジャケット+パンツタイプとワンピーススーツの2種類があります。ジャケット+パンツは、着脱がしやすいことがメリットです。より高い防水性能を求めるのであれば、上下に隙間が生じないワンピーススーツが良いでしょう。
ただし、着脱に手間がかかる点がデメリットになります。 ライディングの快適性を考慮して、完全防水かつ伸縮性のある生地を選びましょう。また、パーツの縫い目から水が浸入しないかどうかもチェックすることが大切です。
手と足も保護する
雨が降っているときは、手と足も保護してください。雨天時は気温が下がり、手や足はとくに冷えを感じやすい部分です。手足が冷えるとブレーキやクラッチなどの操作を誤る危険性が高まるので、保護して防寒すると良いでしょう。
ウェア同様に、手袋やブーツも防水性の高い素材を選ぶことが大切です。また、着用のしやすさもチェックしておきましょう。
視認性の高いウェアを身に着ける
雨の日に着用するウェアは、防水性だけではなく、視認性も重要です。
大雨の場合、同じ道路を利用するバイク・自動車の運転手の視界も悪くなり、道路上でバイカーを認識しづらくなってしまいます。 そこで、認識されやすい色や反射材を用いた視認性の高いウェアを着ていれば、バイクで走行していることに気付いてもらいやすくなるので接触事故を防げる可能性が高まります。
身の身の安全はもちろん、ほかの道路利用者の身を守る上でも視認性の高さは重要です。

バイク乗車時の雨対策におすすめのレインウェア6選
バイク用のレインウェアにはさまざまな商品があるので、どれにしようか悩んでいる方もいるはずです。
そこでここからは、ダイネーゼおすすめのレインウェアを6つにピックアップしてご紹介するので、ウェア選びの参考にしてください。
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まとめ:雨天時にも安全にバイクに乗れるように対策しておこう!
今回は、雨天時のバイク走行で意識したい雨対策やおすすめのレインウェアをご紹介しました。
バイクを運転する際はいつでも安全運転が求められますが、雨天の走行ではより慎重な運転を求められます。できれば乗らない方が良いのですが、どうしても乗らなくてはいけない状況や急に雨が降ってきたときのために、ご紹介したポイントを念頭に置いておきましょう。
また、雨対策として防水ウェアやレインウェアを準備しておくと安心です。防水性能はもちろん、視認性の高さやデザイン性にもこだわって自分好みのアイテムを選んでみてください。雨対策をしっかり行い、バイクライフをより安全で楽しいものにしましょう。