安全で快適なバイクライディングには、ヘルメットをはじめ、ウェアやシューズなど、バイク専用のアイテムが必要不可欠です。
なかでもシューズには、大切な役割があります。それは、ライダーの足やすねを保護すると共に、ギアとブレーキ操作の繊細な感覚をライダーに伝えるという役割です。
ここでは、バイクシューズの種類と選び方からスタートし、おすすめシューズまでを詳しく解説したいと思います。
バイク用シューズと普通のシューズの違い
2つのシューズの違いを端的に言えば、2点に絞られます。
1つはバイクならではの特性で、滑りにくい靴底と、シフトパッドを備えていること。
もう1つは頑丈さと耐候性で、くるぶしまでカバーするハイカットシューズであること、摩擦に強いこと、そして耐透湿性が高いことでしょう。
バイク操作に適した設計
バイク用シューズは、バイクならではの操作に適した作りとなっています。
たとえばギアのシフトアップやダウンのとき、シフトペダルの上下に爪先を移動させます。そのとき、かかと部分はラバー製ステップの上を前後に動きますが、滑りすぎても滑りにくくても、操作はスムーズにできません。
またシフト操作が肌に伝わってくることも大切で、安全靴などでは爪先に固い芯があるとペダルの感触が伝わってきません。反対にスニーカーなど薄い素材のシューズでは足が痛くなってしまいます。
スニーカーにはシフトパッドもついていません。普通の靴に貼り付けるシフトガードも売られていますが、面倒なことは確かです。
リアブレーキ操作においても滑りにくいことは必須で、バイク用シューズは、バイクのギアやブレーキの操作に適した設計となっているのです。
怪我のリスクが下がる
バイク用シューズの特徴としては、次の点があげられます。
- くるぶしまでカバーする「ハイカット」形状
- 転倒時に足を守るため、つま先とくるぶし部分に安全装備を内蔵
- 足首の上下はしやすく左右へのねじれに強い構造(レーシングブーツ、オフロードブーツ)
- 全体的に頑丈な作りのため、通常のシューズよりやや重い
これらの特徴は、転倒してもケガを少なくするためのものです。バイクで転倒すれば、アスファルトの上を滑ったり、路面とバイクの間に足を挟まれたりすることもあります。足に衝撃を受けることは避けられないでしょう。
また、転倒の際に足首をねじってしまう可能性もあるでしょう。バイク用シューズは、転倒してもライダーのケガが極力少なくなるように作られているのです。
耐浸性・防水性に優れている
ロングツーリングでの雨天走行、オフロードでの悪路走行など、雨や水分はバイカーにとって嬉しいものではないことは確かですが、避けて通ることはできません。
バイク用ブーツは、こうした過酷なシチュエーションにも対応しなければなりません。つまり、高い耐浸性と防水性です。
シューズメーカーが販売している防水タイプシューズは、独自の素材でシューズに耐浸透・防水性を持たせており、メッシュ生地であっても水が浸透しにくい優れた作りとなっています。
激しい雨や長時間の雨天走行では雨水が浸透してくることもありますが、そうでなければ防水タイプのシューズで問題ない場面がほとんどでしょう。
バイク用シューズを購入する際には、耐浸・防水性はぜひチェックしておきたいポイントです。
バイク用シューズの種類
バイク用シューズには、幅広く使える「ライディングシューズ」から、特定の目的に使用する「レーシングブーツ」「オフロードブーツ」などの種類があります。
ここからは、これらの違いについて詳しく解説したいと思います。
ライディングシューズ
これからバイク用シューズを買いたいと思っている方におすすめのシューズ。
何種類もあるバイク用シューズの中でデザインやカラーが一番豊富で、バイクを下りて街を歩いても、履き心地、見た目ともに違和感がありません。それでいて、バイク用シューズに必要な頑丈さ、耐候性、操作性などは十分に備えています。
「シフトガードは格好悪くていや」という方も、ライディングシューズならシフトパッドが目立たないようにつけられているため、バイクに乗っていない時にも安心して履くことができるのが特徴です。
レザーブーツ
レザー(Leather)すなわち革製のブーツです。アメリカンからネイキッド、SSまで、さまざまなバイクに合わせやすいデザインが特徴で、オールマイティに使えます。ファッションも選ばず、ボトムスがジーンズでも革パンツでもよく似合うでしょう。
革製ジャケットにも一般的なライダースジャケットにも合うため、1足あると大変重宝します。カラーは主に黒か茶色で、くるぶしの上までカバーする形状となっており、作りも頑丈なため、ライディングシューズと比べるとやや重くなる点には注意してください。
レーシングブーツ
サーキットを走るためのブーツで、サーキットを高速かつ深いバンク角でも安全に走れるように作られています。
つま先、かかと、足首などにプロテクトパーツが配置され、転倒による骨折や捻挫などを防げるよう、横や斜め方向への足首のねじりを強固に防ぐ構造となっています。カラーは黒をベースに、カラフルなアクセントがちりばめられたものが多いです。
安全面では最高レベルのブーツですが、レザーブーツ以上に重いことと、歩くことが念頭におかれていないのが難点です。そのため、ツーリング先で街を散策するといった使い方には向いていません。
オフロードブーツ
一般的に「オフロード」と言った場合、モトクロス・トライアル・エンデューロの3つに分けられ、それぞれの走行を前提としたブーツがあります。これらの種類を簡単に言うと、
- ダートを速く駆け抜けるための、硬くフラットなソールのモトクロスブーツ
- 人車一体となって障害物を乗り越えるための、柔らかいトライアルブーツ
- どのような道でもタフに走り抜けるためのブロックソール主体の柔らかいエンデューロブーツ
オフロードは小石や砂利が多いこと、転倒もオンロードより多いことから、これらオフロードブーツ前面にはガードがついています。
レディースブーツ
女性用に開発製造されたブーツ。女性の足は、男性と比べて小さいうえに足の甲がやや低くいため、そうした特性を生かした作りになっています。見た目もスマートでお洒落なものが多く、男性用のブーツとは構造がかなり異なってきます。
もちろん他のライディングシューズやブーツと同様、プロテクターが装備されているのは安心できるポイントです。
また、かかとの高いタイプを選んだりインソールを工夫したりすることで、バイクにまたがったときの足つき性を改善できます。
バイク用シューズの選び方
ここまでバイク用シューズの種類と違いなどについて解説してきましたが、次に、実際のシューズ選びについて解説します。衝動的に買ってから後悔することがないよう、シューズ選びにおける4つの大切な視点をご説明します。
機能性で選ぶ
人がどのような時にどのような靴を履くか、それはシチュエーションによって変わってきます。たとえば陸上の短距離と長距離で違うスニーカーを履くのは、それぞれの機能性を最重要視した結果です。
同じように、バイクで走る際に安全性や操作性を最優先して考えるのは、最も理にかなった方法です。ツーリング主体ならプロテクション効果と耐候性の高いレザーブーツがいいでしょう。
オフロードを走るならオフロードブーツが適していますし、峠道を楽しみたいならタイトなシフト感覚を味わえるレーシングブーツが最適と言えます。バイク用シューズの最大の特徴は、バイク操作に必要不可欠な機能性が備えられていることです。
機能性をバイク用シューズ選びの一番の基準とすることは、ごく自然な考え方でしょう。
着脱のしやすさで選ぶし
バイク用シューズ選びで重要な視点のひとつとして、着脱がしやすいかという視点があります。まずは通常の靴よりハイカット形状ですから、ツーリングに出かけるとき、昼食、休憩などで、靴を履いたり脱いだりするのは手間がかかります。
しかしあまりに手間がかかっては、面倒だから履かないなんてことにもなりかねません。その点、ベルクロ式のシューズには紐を結ぶ必要がありません。靴の正面は紐を結ぶ方式になっていても、サイドジッパーで脱着が容易な靴もあります。
また、「BOAシステム」を採用している靴もあります。BOAシステムとはダイヤルと細い紐を組み合わせたもので、ダイヤルを回してフィット感の調整を容易に行うことができるシステムです。
BOAシステムを採用しているシューズなら、手袋をはめた状態でも難なくフィット感の調整ができます。ベルクロ、サイドジッパー、BOAシステムなら、靴の脱着のわずらわしさから解放されるでしょう。
履いたときに動きやすいものを選ぶ
動きやすいことも大切なポイントで、とくに足首を上下に動かしやすいことはライディングにおいて重要な要素となっています。したがって、ハイカットシューズを購入するときには、実際に履いて足首の動かしやすさをチェックしたいものです。
足首が動かしにくいと走行中のストレスに繋がりますし、安全走行の妨げにもなります。最も足首を動かしやすいのはライディングシューズです。素材の違いで言えば、レザーよりはフェイクレザーやナイロンのほうが動かしやすいと言えます。
ただし、レザーブーツは使っているうちに柔らかくなってくることを考慮して購入を検討しましょう。ブーツを選ぶ際の理想としては、ショップで幾つかのブーツを選び、実際に履いて動きやすさをチェックすることです。
デザインで選ぶ
ライダーは誰でも、格好良くスタイリッシュにキメたいと思っていることでしょう。格好良くバイクに乗るため、ファッションにこだわるライダーも多く、ジャケットからパンツ、ブーツ、手袋までお気に入りのブランドで統一している人はよく見かけます。
また、全身同じトーンでウェアを合わせたり、バイクのカラーリングに合わせたりする人もいることでしょう。シューズ選びも同様で、バイクのタイプやカラーリング、あるいはライディングウェアに合せたカラーリング・デザインで選ぶのもおすすめの方法のひとつです。
とくにレディースブーツはデザインが豊富で、バイクに乗るときにもお洒落を楽しみたい女性に最適なバイク用シューズと言えます。レザーブーツは他のブーツに比べるとデザインの幅こそ少ないですが、実際に並べて見ると種類によって細かな違いがあるのも特徴です。
デザインにこだわったシューズで、より格好良くキメたいですね。
おすすめのバイク用シューズ5選
バイク用シューズ選びの基本を理解したうえで、次はおすすめのバイク用シューズを5つご紹介します。どのシューズも優れた特徴を持っており、自信をもっておすすめします。
ENERGYCA D-WP SHOES|ライディングシューズ
気軽にすっと履けるライディングシューズで、D-WPメンブレンを採用したことで、街乗りをはじめとしたさまざまなコンディションで快適かつドライな足元環境を実現してくれます。
D-WPメンブレンを採用したこのライディングシューズは、DAINESEのスポーツDNAの粋を集めたもので、安全認証を受けた製品であり、普段のシティライディングにおいても優れた保護性能を発揮します。
デザインは、ややハイカットの典型的なライディングシューズで、前面の紐と上部のベルクロで足へのフィット感は抜群です。ヒールや足首には補強材と反射材を内蔵し、安全な強度を確保しています。
欧州のCE基準にも適合していることが安全性の証明でもあります。軽さ、強さ、安全性のすべてを備えている、優れたバイク用シューズです。
安全規格 | 欧州安全基準CE - Cat. II - EN 13634適合 |
---|---|
サイズ | 39〜47 |
素材 | カウハイドレザー(牛革)のアッパー |
形状 | 補強されたTPUヒール構造 |
S. GERMAIN 2 GORE-TEX SHOES | レザーブーツ
高級牛革「フルグレインカウハイド」と、耐水性と透湿性を兼ね備えた「GORE-TEXメンブレン」を使用したDAINESE製品です。
非常に優れたシューズで、履きやすいライディングシューズと頑丈なレザーブーツの特性を併せ持っています。レザーの外装に加え、足首のインナーには硬い素材を内蔵することによる安全性の確保。
夜間走行時の安全性を高める反射材を装備し、他車からの視認性を高めています。脱着は内側のジッパーで容易に行えます。
アーバン向けにデザインされたライディングシューズで普段使いや通勤にもおすすめの1足。ぜひそろえておきたいシューズの1つです。
安全規格 | 欧州安全基準CE - Cat. II - EN 13634適合 |
---|---|
サイズ | 39〜46 |
素材 | Idro GORE-TEX® フルグレインカウハイドレザー(牛革) |
形状 | ファスナー開閉
|
DYNO PRO D1 SHOES | レーシングシューズ
DAINESEが開発したレーシングシューズで、レースシーンの過酷な条件を満たすべく作られたレーシングシューズです。
具体的な性能として、
- ハイグリップTPUインサート
- 交換可能なマグネシウムスライダー
- 耐摩耗性のギアシフトガード
- 素早い開閉システム
- カウハイドレザーのインサート
- エアギャップライナー
- 温度調整を考慮した特殊な通気システム
- 歩くときに負荷のかかる部分には柔軟性のある素材を採用
などがあげられます。
外装スライダー、つま先やかかとの補強によりレーシングシューズとしての強度を確保しながら、ツーリング先での歩行における快適さも実現した優れたシューズです。
安全規格 | 欧州安全基準CE - Cat. II - 89/686/EEC適合 |
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サイズ | 39〜47 |
素材 | カウハイドレザー(牛革)のインサート |
形状 | TPU製ヒールカウンター |
STREET ROCKER D-WP SHOES |ライディングシューズ
ハイカットスニーカースタイルのライディングシューズです。カラーリングは、ブラック、ダークブラウン、ライトブラウンの3種類をラインナップ。
最高品質の柔らかなフルグレインカウハイドレザーを手作業で仕上げており、ビンテージ感は抜群です。そしてサイドには、さりげなくDAINESEのロゴ。
内側の通気性のあるD-WP防水メンブレン、硬い素材のかかと、インソール補強などによって高度のプロテクション性能を実現しています。
外観はビンテージ、しかし中身は高い強度を実現しながらも通気性まで実現しており、古さと現代のテクノロジーが巧みに融合したシューズと言えるでしょう。
安全規格 | 欧州安全基準CE - Cat. II - 89/686/EEC適合 |
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サイズ | 39〜46 |
素材 | フルグレインカウハイドレザー(牛革)のアッパー |
形状 | 紐による開閉 |
ENERGYCA LADY D-WP SHOES|レディースブーツ
女性用のライディングシューズで、オンロードのあらゆるコンディションにおける快適さとドライな環境を実現してくれます。
外観は黒と白のカウハイドレザー(牛革)で、内部は防水D-WP製。高い耐水性と透湿性を両立させています。前面の紐で足へのフィット感は抜群、上部のベルクロが脱着の容易さと脱落防止に役立つでしょう。
安全面では、ギアシフターガード、反射材、補強TPUヒール、足首の硬い素材内蔵など、ぬかりありません。
女性が1足目のシューズを選ぶにあたって、機能、強度、安全性、デザインなどの多方面から、ぜひおすすめしたいシューズです。
安全規格 | 欧州安全基準CE - Cat. II - EN 13634適合 |
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サイズ | 36〜42 |
素材 | カウハイドレザー(牛革)のアッパー |
形状 | 補強されたTPUヒール構造 |
バイク用シューズを着用し、ツーリングを楽しもう!
バイク用シューズの種類や機能などについて、詳しくおわかりいただけたでしょうか。
両足は、ライダーの体がバイクに接している数少ない部分の1つであり、シューズを通して伝わってくる情報はライダーにとって、非常に貴重なものです。
ご紹介した5つのシューズは、DAINESEの長い歴史から生み出された、機能性とデザイン面で優れたシューズとなっています。
ぜひ、ご自分に合ったシューズを購入し、快適で安全なツーリングに出かけましょう。
※記事内の価格、情報は全て作成時点のものです。最新の情報は各ブランドページをご確認ください。
株式会社ユーロギア
記事作成 ユーロギア編集部
「モーターサイクル」「スキー」「自転車」等、アクティブスポーツを楽しむ方のためのセーフティギアを取り扱い。海外の複数スポーツブランドの総代理店として、全国に専門店を展開中。他、これらのスポーツを楽しむためのイベント開催も。
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