バイクの趣味を末永く楽しむためにも、事故や転倒はなるべく防ぎたいもの。
しかし、アクシデントは完全に避けることはできません。
そこでいざという時にあなたの身体を守ってくれるのが「プロテクター」です。
上半身は肘、肩、背中、胸をプロテクターで保護するのが一般的であり、実際に有効なのは間違いありません。
ここではその中でも、腕の関節を保護する肘プロテクター(エルボーガード)にフォーカスしてその必要性や商品の選び方などを解説していきます。
バイク用肘プロテクターはなぜ必要?
バイクで転倒した際ダメージを負うケースが多いのが体の関節部分です。
ハイスピードで転倒した際は、手を着く前に肘が直接路面に接触し負傷することも多くあります。
特に関節を怪我した場合には、その後の回復に時間がかかったり、完治が難しいような重症となってしまう場合もあります。
そういったリスクを軽減するためにも、肘プロテクターの装備が重要なのです。
バイク転倒時によくある肘の怪我
上腕と前腕をつなぐ肘の関節は、外側と内側の靭帯と筋肉に支えられています。転倒によって肘を路面などにぶつけたり、転倒時に倒れたバイクが肘に乗り上げたりすることで、ダメージを負うことになります。
特に未舗装の林道では、大小の石が転がっているようないわゆる「ガレ場」を走る際に、転倒して肘を石や岩にヒットしてしまうと大怪我に繋がることも。
また、舗装路ではハイサイドによって路面に叩きつけられるような激しい転倒をした場合や、転倒時にガードレールのポールや歩道の段差などの構造物に肘をヒットしてダメージを負うケースが想定されます。
そうした転倒によって肘に負うことの多い怪我として、
- 転倒して路面を滑る時にできる擦過傷や裂傷
- 肘を形成する肘頭や上腕骨、橈骨、尺骨の骨折
- 肘の靭帯の部分断裂や断裂
- 肘関節の脱臼や捻挫
などがあります。
骨折や靭帯損傷の程度によっては手術治療が行われ、リハビリテーションが必要となるなど怪我が長期化することも珍しくないのです。
肘プロテクターをすることで、肘の怪我は軽減できる
半袖など肘がむき出しの状態は非常に危険で、転倒すれば怪我は避けられません。
そこで、バイクに乗るときには長袖が推奨されているのですが、薄手の素材であれば防御性はあまり期待できないでしょう。
肘プロテクターにはさまざまな種類がありますが、肘から前腕までを覆ってガードできるので、バイクに乗る時に装備しておくことで、怪我のリスクを確実に低減できます。
転倒によって肘を打ったり、肘を支点にして路面を滑るような場合、たとえジャケットが破れたとしても、その下の肘プロテクターがショックを吸収し、摩擦から保護することで、肘を護ってくれます。
大きな転倒では肘プロテクターを装備していても怪我することはありますが、ダメージを低減させる効果があるのは間違いありません。
バイク用肘プロテクターの選び方
ひと口に肘プロテクターと言っても、装着の方法から防御レベルまでさまざま。
また、肘プロテクターは装具なので、体の動かしやすさにも関わってきます。
その中で、自分に最適な肘プロテクターを選ぶ必要があるのです。
ここでは、肘プロテクターの選び方について詳しく解説したいと思います。
用途にあった種類の肘プロテクターを選ぼう
ツーリングやオフロード、サーキット走行など走るシーンによっても、推奨される肘プロテクターは異なります。
競技用としてはモトクロスだと、腕に直接装着するタイプが一般的で、ロードレースでは基本的にレザースーツに付属しているものを使うことになります。
また、肘プロテクターはソフトシェルタイプとハードシェルタイプに大別することができ、それぞれ特徴が異なります。
ソフトシェルタイプ
ソフトシェルタイプは文字通り柔らかい素材の肘プロテクターで、装着時に肘関節が動かしやすいのが最大の特徴です。
また、軽量で通気性の良いタイプも多く、長期間の装着でも汗をかきづらく疲れづらいのがメリットになります。
装着方法は上腕と前腕部をそれぞれベルトで固定する「ベルト式」とアームカバーのように腕を通して装着する「スリーブ式」に大別できます。
ソフトシェルは動かしやすく、自然な着用感というメリットを持つ一方で、防御性能はハードシェルに及びません。
転倒で怪我のリスクの高い荒れた路面を走ったり、サーキット走行をするような時には不向きだと言えるでしょう。
価格は、一般的にはハードシェルに比べてリーズナブルな傾向がありますが、最近は高性能なソフトシェルタイプも発売されており、一概には言えないようです。
ハードシェルタイプ(プラスチックシェルタイプ)
ハードシェルタイプは、プロテクター部分がプラスチック製となっており、より強固に肘を守ることができる肘プロテクターです。
プロテクター部分は、肘関節と前腕部分の2つに分かれているのが一般的で、関節を曲げることができますが、ソフトシェルタイプに比べると動きが制限されます。
また、ソフトシェルタイプに比べると重量があるものが多く、通気性にも劣るので長時間の着用で疲れを感じることもあります。
ただし、転倒時の防御性はソフトシェルよりも優れるので、怪我のリスクを可能な限り抑えたいならハードシェルの選択が正解です。
装着方法はベルト式、スリーブ式のそれぞれがあります。
初心者にはハードシェルタイプがおすすめ
ツーリングでは、ジャケットに内蔵される肘プロテクターが便利で気軽ですが、バイクに慣れてないビギナーは転倒リスクが高いので、できるだけ肘プロテクターを装着して防御性を高めておきましょう。
確かに、腕の動かしやすさはソフトシェルタイプに軍配が上がりますが、万が一の転倒時のことを考えると、ハードシェルタイプの肘プロテクターを装着しておくのが無難でしょう。
ある程度ライディングに自信が付いてきたなら、その時にソフトシェルタイプのプロテクターを追加購入し、走るシーンで使い分けすればよいでしょう。
CE規格を通過した商品を選ぼう
肘プロテクターを選ぶ際に、必ずチェックしておきたいのが「CE規格」です。
CE規格はEU加盟国の基準を満たす製品に付与されるマークで、プロテクターの安全規格を持たない日本国内においてもこのCE規格が製品の信頼性の指標となっています。
日本で市販されているバイク用プロテクターの中には、CE規格をクリアしていない商品もあるので、購入前にチェックが必要です。
また、肘プロテクターに関しては、CE規格の中でも性能ランクが2つに分かれていて、Level1よりLevel2の方がより防御性能が高いことを意味します。
日常での着用だけでなく競技用などとして最も高い防御性能を発揮する肘プロテクターが欲しい場合は、より性能が高い方を選ぶのもよいでしょう。
フィットするサイズの商品を選ぼう
肘プロテクターは関節部分に装着するので、激しい動きの時は特にズレやすいので注意が必要です。
肘からプロテクターがズレてしまえば、確実な防御ができないのは言うまでもありません。
だからこそ、肘プロテクターはサイズ選びが重要です。
自分の体にフィットする製品を選んで、ベルト式の場合はしっかりと腕に締め付けて固定するようにします。
しかし、むやみに締めすぎるとズレにくくはなりますが、血流が圧迫されたり、腕の可動域が制限されたりすることで、今度はライディングに支障が出ることがあります。
自分の腕にフィットさせるのは重要ですが、あまりフィットしすぎるのも動かしづらさを招いてしまうのです。
肘プロテクターの取り付け方
肘プロテクターの装着方法はさまざまなタイプがありますが、肝心なのは肘からズレないように取り付けること。
ベルト式の場合は、固定はベルクロで行われることが多いので、腕にしっかり締め付けてフィット感が得られます。
しかし、一方で締め付けが強すぎると腕の動かしづらさを招いたり、腕の血流が阻害されて腕に力が入りづらくなったりするケースもあるので注意が必要です。
腕を通して着用するスリーブ式の肘プロテクターは、装着時の調整は基本的に必要ありません。
ただ、プロテクターが肘を保護できるように確実に位置調整を行います。
ツーリング用のバイク用ジャケットでプロテクターを装備しているものは、肘の部分にプロテクターを収納するためのポケットがあるので、そこに指定のプロテクターを挿入します。
ロードレース用の革つなぎの場合は、直接ベルクロで固定するか、プロテクターを専用の袋に収納してから固定する2通りがあります。
この場合も、革ツナギに付属するものや、メーカーの専用プロテクターを使用します。
いずれの場合でも、肘プロテクターの装着は非常に簡単なので安全のために積極的に使用したいものです。
おすすめの肘プロテクター3選
肘プロテクターには、防御性能から素材、装着方法まで多種多様な種類があります。
ここでは、そんな肘プロテクターの中からおすすめの商品を紹介したいと思います。
使用シーンに合った肘プロテクターを選び、ぜひ安全なバイクライフを楽しみましょう。
DAINESE ELBOW V E1 | 肘プロテクター
CE規格をクリアした「ELBOW V E1」は、肘のサポートストラップと伸縮性のあるインサートで動きやすさを確保。
防御性の高いハードシェルプロテクターはパンチングメッシュとなり、2層のジャージー素材が生む空間による効果も合わせて蒸れにくく快適な着用感を実現します。
固定ベルトは3本備えることで激しい動きに追従し、フィット感を向上させています。
また、固定ベルトはベルクロ式なので装着時の締め付けを自由に調整することができます。
安全規格 | 欧州安全基準CE EN1621-1 Level 1 |
---|---|
サイズ | フリー |
対応部位 | 肘 |
形状 | 単体 |
タイプ | ハード |
DAINESE MX1 ELBOW GUARD | 肘プロテクター
腕を通すだけでかんたんに着用できるスリーブタイプの「 MX1 ELBOW GUARD」はオフロードライダー向けの肘プロテクター。 SからXLサイズの4つのバリエーションで、自分の肘にフィットする最適な商品を選ぶことができます。
プロテクターはハードシェルタイプで、肘から前腕までをカバーするワンピース形状。
オフロード走行での肘を少し曲げたポジションにマッチする形となっています。
また、プロテクターには通気口が多数設けられており、通気と軽量とを両立させています。
安全規格 | エルボープロテクター(欧州安全基準CE - EN1621-1 Level 1適合) |
---|---|
サイズ | S~XL |
対応部位 | 肘 |
形状 | 単体 |
タイプ | ハード |
DAINESE PRO-ARMOR SAFETY JACKET 2| ジャケットプロテクター
着用するだけで肘だけでなく肩、背中、胸に内蔵するプロテクターによって上半身を防御できる「PRO-ARMOR SAFETY JACKET 2」。 プロテクターの厚みが抑えられており、いつも着ているジャケットの下に着用できます。 また、2方向に伸縮するBielasticインサート素材の採用により、体の動かしやすさを確保しています。
サイズはXSからXXXLの7サイズで、手首とウエストは調節可能。 袖口にはサムホールが設けられているので、腕を伸ばしても袖がめくれ上がることがありません。 肘と肩のプロテクターは脱着可能となっています。
安全規格 | 肩(欧州安全基準CE - EN1621.1)、肘(欧州安全基準CE - EN1621.1)、背中(欧州安全基準CE - EN1621.1) |
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サイズ | XS~XXXL |
対応部位 | 上半身全体(胸・肩・肘・背中) |
形状 | ジャケット内蔵 |
タイプ | ソフト |
プロテクターを着用して、肘を怪我から守ろう
転倒により怪我を負う箇所はさまざまですが、特に手足の関節や胸、背中はダメージを受けやすい部分です。
その中でも装着によって手の動きがスポイルされることを嫌って、肘プロテクターを着けないという人も多いですが、プロテクターが無ければいざというときのダメージは何倍にも大きくなります。
ダイネーゼではさまざまなプロテクターをラインナップしています。
その中から自分の体や着用シーンに合わせた快適に使える肘プロテクターを選び、安全なバイクライフを楽しみましょう。
※記事内の価格、情報は全て作成時点のものです。最新の情報は各ブランドページをご確認ください。
株式会社ユーロギア
記事作成 ユーロギア編集部
「モーターサイクル」「スキー」「自転車」等、アクティブスポーツを楽しむ方のためのセーフティギアを取り扱い。海外の複数スポーツブランドの総代理店として、全国に専門店を展開中。他、これらのスポーツを楽しむためのイベント開催も。
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