最終更新 2023.01.17

レース用ヘルメットとは? 公道用ヘルメットとの違いを解説

レースでは、一般公道とは全く異なる高いアベレージスピードで走行するため、転倒リスクも高く、ライディングスーツやグローブ、ブーツだけでなくヘルメットに関しても公道用とは異なる安全性が求められます。

レース用のヘルメットとはどんな特徴があるのか、公道用の違いを含めて解説したいと思います。

レース用ヘルメットとは? ヘルメットの種類と違い

レース用ヘルメットには国内外で異なる安全規格がある。

日本国内で行われる二輪レースには、MFJの主催によって行われるものと、FIM主催のもの、さらにその他の団体や個人の主催によるいわゆる「サーキット走行」に大別することができます。
それぞれ異なるヘルメットの安全基準があるので、一つずつご紹介していきます。

MJF規格

MFJ(一般財団法人日本モーターサイクルスポーツ協会)は、日本国内で行われる二輪レースを統括する団体で、MFJが主催、公認するレースに出場するにはMFJ公認ヘルメットの着用が必要です。
MFJの公認を得るにはJIS(日本産業規格)の安全試験に通過していることが前提となり、そこからさらに厳しい耐貫通試験に通過することが求められます。

MFJの認証を得たヘルメットには、その証となる公認マークのステッカーが主に内装部分に貼られており、そのデザインは5年ごとの改定に合わせて変更されます。 また使用期限が定められており、期限切れの製品ではMFJ公認レースにはエントリーできません。
現在の規格は2022年に定められたもので、販売されているヘルメットは転倒などでダメージを負わない限り原則として2036年まで使用できることになります。

MFJ公認の車両・部品・用品についてのページはこちら

FIM規格

FIM(国際モーターサイクリズム連盟)は、世界中で国際的なオートバイイベントを主催できる唯一の国際機関で、1904年に設立されました。

日本国内においてもFIM主催のレースにエントリーするためには、海外で行われる国際格式のレースと同じくFIMの公認を得たヘルメットの着用が求められます。

FIM認証を取得したヘルメットはFIMのホームページにて製品名が公開されている他、あご紐部分に証明ラベルが縫い付けられ、その識別ができるようになっています。

FIM認証ヘルメットの一覧はこちら

公道用のJIS規格とは?

国内の公道で使用するためには、日本産業規格が定める「JIS」規格があります
JIS規格を取得するには衝撃吸収性、耐貫通性、保持性、周辺視野などの試験が行われ、125cc以下用の1種と排気量無制限の2種とがあります。

あくまでJIS規格は公道向けの規格です。
MFJ主催や公認レースではないサーキット走行会では、必ずしもMFJの公認ヘルメットが義務付けられていないケースもあります。

しかし、レース・サーキット走行に参加する際には、MFJ規格やFIM規格などより厳しい試験を経て承認されたヘルメットの装着をおすすめします。

バイク(二輪)と四輪のヘルメットの違いとは?

四輪のレースやサーキット走行では、バイクと同様にレース用ヘルメットが必須の装備となります。 四輪用のヘルメットは製品自体が少ないので、二輪用を使用するユーザーもいると聞きます。

しかし、もちろんですが、二輪用と四輪用ヘルメットの目指す保護性能は異なる部分もあます。
ここでは参考までに、その違いを解説していきます。

衝撃吸収性の違い

フォーミュラカー以外の四輪レーシングマシンの場合、ドライバーはマシンに覆われています。 また、ガッチリとしたしたフルハーネス式のシートベルトで体が固定されているので、クラッシュ時はコックピット内で頭部を保護することに重点が置かれます。

コックピット内にはクラッシュした際にマシンが潰れるのを防ぐ「ロールゲージ」が張り巡らされており、ロールゲージやステアリングと接触した衝撃からドライバーの頭部を護る性能が求められます。
衝撃吸収性能は二輪にも求められますが、二輪は転倒時に路面を滑るケースが多く、それを見越した形状や強度が求められているのです。

開口部スペースの違い

前傾姿勢のライディングフォームをとりつつ、コーナーリングでは左右に大きく体勢が移動する二輪に対し、四輪はコーナーでもシートに座った体制が保たれるので、ドライバーの目線は左右方向への動きが多くなります。

そのため、四輪用ヘルメットは開口部のスペースを少なくできるのです。
よってもちろん、四輪用ヘルメットを二輪で使用すると視界が確保できず、危険な状態となります。

また、四輪はクラッシュした際にコックピット内に閉じ込められることもあるため、火災からの保護も想定されてることから、なるべく開口部を少なくすることで顔の皮膚の露出を減らしているのです。 一方、二輪では転倒時はマシンと体が離れるので、火災リスクは低い傾向があります。

耐火性能の違い

激しいクラッシュ時には火災が発生するケースがあります。 四輪の場合、ドライバーが気を失ってしまった場合やクラッシュの衝撃でキャビンが潰れてドアが開かなくなった際は、救助に時間が掛かることになり、ヘルメットには耐火性能が求められます。そのため、四輪のヘルメットには難燃素材が使われているのも特徴です。

一方、二輪でもクラッシュ時の火災のリスクはありますが、転倒時はライダーとマシンが離れることがほとんどです。

火災よりは、どちらかと言えば二輪は激しく体を動かすため、ヘルメット内装の素材には、汗をかいてもベタつかないドライ素材や、通気性の良さが重視されています。

形状の違い

四輪のドライバーがマシンに囲まれているのに対し、二輪はライダーの体がむき出しなので、走行風から受ける空気抵抗の影響は避けられません。

空気抵抗の多いヘルメットでは、頭部が振られて疲労が蓄積したり、ライディングフォームが不安定になったりする原因となるので、二輪のヘルメットでは各メーカー独自のスポイラーを採用し、ヘルメット付近で発生する乱流を抑えるのがトレンドです。

また、二輪用ヘルメットは内部に走行風を取り入れて、ヘルメット内の蒸れやシールドの曇りを抑えるベンチレーションを備えています。

対して四輪用のヘルメットは直接走行風にさらされることも無いので、空力のためのスポイラーなどは装備されず、ベンチレーション機能も二輪用ほど充実していません。

ジェットヘルメットはバイクレースでは使用しない

四輪の場合、比較的速度のアベレージが低いジムカーナ競技や、同乗して会話によるコミュニケーションが必要となるケースも有るラリー競技では、オープンフェイス型の「ジェットヘルメット」を着用するケースもあります。
しかし二輪の場合、転倒時にライダーを護るものはヘルメットやライディングスーツなど、装具以外にありません。
また、頭部への衝撃もどこから受けるか予測不可能なので、必ず顎の部分まで保護するフルフェイスヘルメットの着用が義務付けられています。

ただし、一部二輪ジムカーナ競技などではジェットヘルメットの着用が認められるケースもあります。 また、トライアル競技に関しては広い視界と軽量さを兼ね備えるオープンフェイスタイプのトライアルヘルメットがMFJ規格として認可されています。

バイクのレース用ヘルメットの種類

バイクレースといっても、サーキットを走るロードから不整地で行われるオフロード、山間部にコースが作られるトライアルなど、それぞれ異なったシーンで走ることに伴い、ヘルメットもそれぞれ異なる種類のものを使用します。

ここでは、それぞれのヘルメットの特徴についてご紹介したいと思います。

ロードレース(サーキット)用ヘルメット

バイクレースの中でも最も競技人口が多く、メジャーなのがサーキットで行われるオンロードレース。
ロードレース用ヘルメットは顔全体を保護するフルフェイスタイプで、 走行風の影響を受けにくく、転倒時に衝撃を受け流すことができるよう、ヘルメットの帽体は球状となっています。

また、多くのロードレースヘルメットが、エアロダイナミクス性能を向上させるためのスポイラーやヘルメット内部に走行風を取り入れて蒸れを防ぐベンチレーションなども装備。

汚れたシールドを瞬時にクリアにできるティアオフフィルム

ヘルメットのシールドは、レース中に他のマシンから飛散するオイルやタイヤのカスなどで汚れます。 汚れたシールドでは視界が奪われてしまいますが、レース中にシールドをキレイに掃除するような時間はありません。

そんな時に活躍するのが、ティアオフフィルム。予めシールド外側に貼っておくフィルムで、汚れたらレース中でもワンアクションで剥がすことができます。 ティアオフフィルムの下は汚れていないので、シールドは瞬時にきれいになりクリアな視界を確保できるのです。

走りながらライダーの水分補給を可能とするハイドレーション

AGVの「PISTA GP RR」に付属している「ハイドレーションシステム」は、ハイドレーションパックに入れた水分を走りながら摂取することができる装備。夏場の耐久レースなどには必須装備ですね。

モトクロスヘルメット

オンロードのヘルメットとは異なる形状を持つオフロードヘルメット。 その形状には意味があります。

不整地を走るオフロードは、オンロードよりも激しい動きをする分、呼吸が荒くなります。 オンロードのフルフェイスヘルメットのようにヘルメット内が密閉されると息が苦しくなるので、シールドではなくゴーグル式にすることで、より走行風を取り込みやすくなります。 さらに口元の部分も大きく前に張り出させることでスペースを確保。
おおきな開口部による視界の確保とあわせて、呼吸のしやすさを向上させているのが特徴です。

また、モトクロスヘルメットに装備されるバイザーは陽の光を弱めて視界を確保するためひさしのような役目も果たしています。

トライアルヘルメット

いかに足を着いたり、転倒したりせずに岩や崖など障害物のあるコースを攻略するかを競うトライアルでは、オープンフェイスタイプの専用ヘルメットを着用して競技が行われます。

広い視界を確保し、軽量であることが求められ、眩しい陽の光を遮ることができるように、バイザーを装備するのが特徴です。

ユーロギアがおすすめするレース用バイクヘルメット

ユーロギアでは、国産メーカーのヘルメットとはひと味違った機能とデザインが特徴のヘルメットを多数ラインナップ。 その中でも、MFJとFIMの公認レーシングスペックのヘルメットをご紹介。

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AGV PISTA GP RR 003-IRIDIUM | ロードレース用ヘルメット

美しいカーボンの織り目と、見る角度で色味が変わるイリジウムカラーが特徴的なフルフェイスヘルメット。 フルカーボンファイバー製の軽量かつ強固なシェルは卓越した強度を有し、MFJとFIMの公認を取得しているので、レースや走行会などにも安心して使用できます。 また、その安全性能は、公道での使用においても心強いものです。 日本国内の正規販売商品はアジアンフィット内装を採用し、長時間の着用でも頭が痛くなりにくいのが特徴です。

商品詳細

AGV PISTA GP RR 003-IRIDIUM | ロードレース用ヘルメット

カーボンファイバーシェルを持つ「AGV PISTA GP RR 001-PERFORMANCE」は、レースからフィードバックされた新形状のリアスポイラーを装備。 エアロダイナミクス性能を大幅に向上させています。 また、新形状のベンチレーションシステムは、走行風を効率的に取り込み、ヘルメット内を快適に保ちます。 あらゆるシチュエーションで快適な視界を実現する「Max Pinlock 120」シールドやMotoGP譲りの「ハイドレーションシステム」など、最高峰の装備を有するレーシングフルフェイスとなっています。

商品詳細
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ユーロギアでレース用のヘルメットを探そう

市販車の高性能化が進む現在、公道ではなかなかマシンのパフォーマンスを発揮する事はできませんが、これからサーキット走行を楽しみ、その先にレースへのエントリーを考えるなら、MFJやFIM公認のレース用ヘルメットの購入をおすすめします。

国際格式のレースにエントリーできるスペックを備えたAGV 「PISTA GP RR」は豊富なカラーラインナップを誇ります。一度、そのラインナップをチェックしてみてはいかがでしょうか?

※記事内の価格、情報は全て作成時点のものです。最新の情報は各ブランドページをご確認ください。

株式会社ユーロギア

記事作成 ユーロギア編集部

「モーターサイクル」「スキー」「自転車」等、アクティブスポーツを楽しむ方のためのセーフティギアを取り扱い。海外の複数スポーツブランドの総代理店として、全国に専門店を展開中。他、これらのスポーツを楽しむためのイベント開催も。

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