バイクには多彩な装備がありますが、なかでもヘルメットは道路交通法で着用義務が定められているほど重要なライディングギアのひとつ。
とはいえ、ヘルメットとひと言で言ってもその種類はさまざまで、どのタイプを選べば良いのかと悩むライダーも多いものです。
デザインや価格だけで選んでしまう場合も多いかもしれませんが、安全性を考慮しながらも自身のバイクライフに合わせて必要なタイプを選ぶのがおすすめです。
そこで今回は、ヘルメット選びのポイントや安全規格だけでなく、ヘルメットの形状やその特徴なども紹介します。
ヘルメットに関する知識をチェックして、安心安全なバイクライフをかなえましょう。
ヘルメット選びの重要性
ヘルメットを着用することはライダーであれば誰もが知っていることですが、そもそも道路交通法でこれが定められたのは1978年のこと。
法律が最初に公布された1960年当時は、ヘルメット着用は義務づけられていませんでした。
そしていま現在、法律で定められていると言っても、その項目は以下の7つのみです。
1 左右、上下の視野が十分とれること。
2 風圧によりひさしが垂れて視野を妨げることのない構造であること。
3 著しく聴力を損ねない構造であること。
4 衝撃吸収性があり、かつ、帽体が耐貫通性を有すること。
5 衝撃により容易に脱げないように固定できるあごひもを有すること。
6 重量が二キログラム以下であること。
7 人体を傷つけるおそれがある構造でないこと
この7つだけをチェックすると市販のバイク用ヘルメットの多くが該当しており、どれを選んでも間違いがないように思うかもしれません。
しかしながら、実際にはバイクに乗るシチュエーションやスタイルによって選ぶべきアイテムは異なります。
ヘルメットは命綱! その重要性をいま一度考えてみよう
下記に紹介する警視庁の統計を見ても、事故から自分自身を守ることを考えるとファッション性を最優先して選ぶべきものではないことが分かります。
この統計で明らかになっていることは事故における損傷主部位は圧倒的に頭部が多く、2021年中に発生したバイク乗車中の死亡事故の37.1%では事故時にヘルメットが脱落していたと記されています。
もちろん事故時は頭部だけでなく胸腹部も損傷することも多々あります。
ヘルメットだけでなく、プロテクターを着用することの重要性をまさに数字が物語っているといえるでしょう。
ヘルメットの種類と特徴
ヘルメットの形状によってその特徴は異なるものです。
ライディングのシーンはもちろん、安全性や快適性、さらに季節なども考慮するとヘルメットをシチュエーションによって使い分けるという選択が浮かんでくる人もいるでしょう。
ここでは、市販されている主要なヘルメットの特性を紹介します。
安全性を最大限に考えるならフルフェイスヘルメット
MotoGPなどのレースで着用が義務付けられているフルフェイスヘルメットは、頭部と顔全体を一体型でカバーする構造のため安全性は一番高いとされています。
プロライダーからのフィードバックだけでなく空力など最新の研究結果や技術が反映されているモデルも多く、フルフェイスタイプの中にも多彩なバリエーションが揃っています。
高速走行時の風切り音が少ないものやヘルメット内部に外気を取り込むディフューザー機能が搭載されたものも多く、サーキット走行時や長距離移動時に重宝します。
ただし顔全体を覆うため、メガネの着用がスムーズにできないことや夏場の暑さにはあまり適していないこと、さらに女性ライダーは着脱の際にメイクが崩れやすいというデメリットもあります。
利便性や解放感の高さを優先するならジェットヘルメット
ジェットヘルメットはオープンフェイスヘルメットともいい、あごの部分が解放されているタイプです。
視界も広く、ヘルメットを着用したままでも飲み物が飲めるなど利便性の高さが魅力。
さらに女性ライダーはメイクを気にせずに着脱しやすいという利点があります。
シールドがあるので高速走行にも対応できますが、フリーになっている部分が大きいのでヘルメット内部への風の巻き込みは強く、長時間の高速走行では疲労感が高い傾向にあります。
また顔をカバーするのはシールドのみとなっているため、転倒などの事故の際にはフルフェイスヘルメットなどに比べてリスクが大きくなります。
フルフェイスとジェットタイプの長所が組み合わさったシステムヘルメット
一見するとフルフェイスヘルメットですが、あごの部分のパーツを上部にあげるとジェットタイプのように開放できるのがシステムヘルメットの特徴です。
頭部や顔をしっかりとカバーしながらも、ジェットタイプの利便性も兼ね備えたヘルメットとして人気です。
一方で構造的にボリュームがあるため、ほかのタイプと比べるとフォルムは大きく、重さも少しアップする傾向にあります。
ヘルメットに求める機能性として、なるべく軽量で首への負担が軽減できるものを希望するライダーには不向きといえます。
しかしながら、年々よりスマートでコンパクトなシステムヘルメットも登場しているので、買い替え時などには候補の一つとしてチェックするのもおすすめです。
アドベンチャーバイク人気で注目度が増しているオフロードヘルメット
オフロードヘルメットは、前頭部にバイザー(つば、ひさし)がついた独特の形状をしています。
このバイザーは、オフロードレース中に前方を走る選手が跳ね上げた土や泥で視界がふさがれてしまうことを防ぐたための
役割をはたしています。
競技向けのものは曇り防止のためシールドがセットされていませんが、オンロードや高速走行に適したシールド付きのものも販売されています。
昨今ではオフロードやアドベンチャーバイクの人気が高まるにつれ、競技に関わらずオフロードヘルメットを愛用している人も増加。
口元部分が突き出した形状になっているため呼吸がしやすい一方で、バイザーがあるため高速走行には風の影響を受けやすいというマイナス点もあります。
ヘルメット選びのポイントは?
いざというときに命を守る上でも大切な役割を果たすヘルメット。
そんな重要なライディングギアを選ぶにあたっては3つのポイントをまず押さえておくことがおすすめです。
ヘルメットは決して安くはない買い物なので、購入前にしっかり特徴やポイントをチェックしましょう。
ここでは、市販されている主要なヘルメットの特性を紹介します。
POINT 1 用途に合わせて、最適なヘルメットを選ぶ
ネイキッドやアドベンチャー、クルーザー、オフロードなどバイクにも多彩なタイプがあるように、バイクライフも十人十色。
サーキット走行やロングツーリングをメインで楽しむライダーもいれば、通勤など日常の移動手段が主な人もいるでしょう。
なかでも分かりやすい例で考えると、サーキット走行にはフルフェイスヘルメットが定められています。
またハイスピードが想定される高速道路などでも、頭部をしっかりとホールドし安定感のあるフルフェイスがおすすめです。
一方でオフロード競技に挑戦する場合は、やはり専用のオフロードヘルメットが最適。
まず購入前に主となる用途を考えてみるのがいちばんで、さらに自身が求める安全性も考慮するのが重要です。
POINT 2 安全規格をチェックする
ヘルメットの安全規格というのは世界各国、地域によって異なりますが、日本国内では以下の7つを知識として知っておけばOK。
海外ブランドのものでも国内で販売する際には日本の規格に適合したものになっているので安全性は心配いりません。
不明な点は、販売店で直接問い合わせてみるのもおすすめ。
PSCマーク
国が定める消費生活用製品安全法の基準を満たした製品に貼られるマーク。
日本国内で正規に販売されているヘルメットには、このPSCマークの貼付が義務づけられています。
SG規格
通商産業省の特別認可法人として設立された製品安全協会が安全を保証する規格です。
ヘルメットのSGマークには排気量125cc以下のものと、排気量が無制限のもの、2種類があります。
JIS規格
工業標準化法に基づき制定された規格です。
ヘルメットに関しては、国際基準に則ったテストに合格した適合製品に付与されます。
SG規格と同様に、125cc以下限定のJIS 1種と排気量無制限のJIS 2種が設定されています。
MFJ公認
財団法人日本モーターサイクルスポーツ協会が定めた競技用ヘルメットの規格。
MFJ公認レースに出場する場合は、ヘルメットに公認シールが貼られていることが出場資格の条件となっています。
SNELL規格
アメリカのスネル財団によって定められている規格。
レーサーであったピート・スネル氏の死亡事故がきっかけとなって設立された団体で、衝撃吸収と貫通試験において非常に厳しい試験を行っています。
レース主催団体が承認規格としてリストアップすることも多い規格となります。
ECE規格
欧州経済委員会の安全規格で、ヨーロッパをはじめとする世界50か国以上で採用されています。
現在はECE22.06が最新(2023年6月以降は、規則22.06に適合しないヘルメットやバイザー、アクセサリーの販売は違法となります)。
衝撃テストはより厳しいものになり、バイザーもスチールボールによる貫通テストなどが行われるようになりました。
また、システムヘルメットに特化した新しい規格、サンバイザーなどのアクセサリーにも規格が設けられるなど、現代のニーズに合わせた試験が行われています。
FIM公認
正式名称はFIM Racing Homologation Program for Helmet(FRHP)。
FIM(モーターサイクリズム連盟)が制定した、レース用ヘルメットとしての新しいテストと、より厳しい性能基準を組み込んだプログラムとなっています。
MotoGPやワールドスーパーバイク選手円(WorldSBK)といったFIMが開催する国際ロードレース競技会には、このFIM公認ヘルメット(FRHP)の着用が義務付けられています。
POINT 3 頭のサイズや形状に合うものを選ぶ
せっかくのヘルメットもサイズが合っていないと安全性が損なわれます。
またメーカーによってもサイズ展開が微妙に異なるため、特に初心者ライダーのはじめてのヘルメット購入時には販売店でスタッフに頭部のサイズ計測と相談をお願いするのがベター。
サイズだけでなく内装の調整もしてもらえたら、よりフィットした快適な被り心地をかなえることができます。
おしゃれでかっこいい! おすすめヘルメット10選
選び方のポイントが分かったら、おしゃれでかっこいいヘルメットを選んでみましょう。
ヘルメットのタイプやデザインはもちろん、機能性など多岐にわたるラインナップが揃っているので、自分好みのバイクライフをかなえてくれるものをぜひ見つけてみてください。
AGV PISTA GP RR
MotoGPライダーのための
ピュアレーシングモデル
100%カーボンシェルと計算されたエアロダイナミクス、圧倒的な視界を確保し、ハイドレーションが標準装備されているため、サーキット走行でより高みを目指したいライダーにおすすめです。
MotoGPライダーにちなんだスペシャルグラフィックや限定グラフィックのモデルも多く、レザースーツとコーディネートを楽しむのもよいでしょう。
★写真は009-LAGUNA SECA 2005
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タイプ | フルフェイス |
サイズ | S〜XL |
内装 | アジアンフィット |
安全規格 | SG、ECE 22-06、FIM、MFJ |
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タイプ | フルフェイス |
サイズ | S〜XL |
内装 | アジアンフィット |
安全規格 | SG、ECE 22-06 |
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タイプ | フルフェイス |
サイズ | S〜XL |
内装 | アジアンフィット |
安全規格 | SG、ECE 22-06 |
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タイプ | フルフェイス |
サイズ | S〜XL |
内装 | アジアンフィット |
安全規格 | SG、ECE 22-06 |
AGV K-5 JET
カーボンファイバー製の
特殊構造で高プロテクションを実現
AGVのプレミアムスポーツヘルメットであるK-5のディテールを、ほぼそのまま残してオープンフェイスバージョンに構築されたジェットヘルメット。
カーボンとファイバーグラスの混合素材で仕上げたシェルが、街中の走行にもツーリングにも適した幅広いシーンで活躍する高性能性を実現しています。
内蔵型スポイラーが安定性とエアロダイナミックパフォーマンスを向上。
バイザーには、特許取得済みのエクストラクイックリリースシステムを採用しています。
★写真は K5 S JET 003-MATT BLACK
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タイプ | オープンフェフェイス |
サイズ | S〜XL |
内装 | アジアンフィット |
安全規格 | SG、ECE 22-06 |
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タイプ | オープンフェフェイス |
サイズ | S〜XL |
内装 | アジアンフィット |
安全規格 | SG、ECE 22-06 |
AGV SPORTMODULAR
カーボンファイバー製の特殊構造で
高プロテクションを実現
カーボンファイバー製(シェルとチンガード)の特殊な構造は、MotoGPで使用されているヘルメット・Pista GP RRと同プロテクション性能を発揮。
軽量な構造でありながらも、ハイレベルの快適性と安全性を兼備したモデルはサーキット走行からツーリングまで幅広いシーンをカバーします。
人間の目の能力と同じく水平190度の視野を確保するようにデザインされたSPORTMODULARは、緻密な風洞実験で静音性、空力安定性、通気性も実証済み。
★写真はAGV SPORTMODULAR 001-TRICOLORE MATT CARBON ITALY
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タイプ | フィリップアップ(システム) |
サイズ | S〜XL |
内装 | アジアンフィット |
安全規格 | SG、ECE 22-06 |
AGV TOURMODULAR
バイク用ワイヤレス通信システムDMC搭載モデル
バイク用ワイヤレス通信システムの老舗で、世界No.1シェアを誇るアメリカのカルド社が開発した通信方式「ダイナミック・メッシュ・コミュニケーション(略してDMC)」。
このDMCメッシュ通信システムを使用できるシステムヘルメットで、カーボン、アラミドファイバー、グラスファイバーのシェルを使用することで軽量かつ保護能力に優れた構造を実現しています。
上部とあごにある4つの調節可能な通気口と16個の内部空気取出し経路があり、快適な空気循環を可能にしています。
★写真はAGV TOURMODULAR 004-GALASSIA BLUE MATT
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タイプ | フィリップアップ(システム) |
サイズ | S〜XL |
内装 | アジアンフィット |
安全規格 | SG、ECE 22-06 |
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タイプ | オフロード |
サイズ | S〜XL |
内装 | ユニバーサルフィット |
安全規格 | SG、ECE 22-06 |
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タイプ | オフロード |
サイズ | S〜XL |
内装 | アジアンフィット |
安全規格 | SG、ECE 22-06 |
使い方に合わせて満足できるヘルメット選びを
ヘルメットに関する知識が高まり、自分のバイクライフにぴったりのものが見つかれば充実した趣味の時間をかなえることができます。
その上でバイクやファッションのスタイルに合わせてヘルメットを選べば、かっこいい&おしゃれなライダーへの道も遠くありません。
安心安全にバイクを楽しむためにも、定期的な買い替えの度にヘルメット選びのコツをチェックしてみましょう。
※記事内の価格、情報は全て作成時点のものです。最新の情報は各ブランドページをご確認ください。
株式会社ユーロギア
記事作成 ユーロギア編集部
「モーターサイクル」「スキー」「自転車」等、アクティブスポーツを楽しむ方のためのセーフティギアを取り扱い。海外の複数スポーツブランドの総代理店として、全国に専門店を展開中。他、これらのスポーツを楽しむためのイベント開催も。
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