バイクで転倒したり事故に遭ったりしたときに、体を守ってくれるのがプロテクターです。
代表は頭部を守るヘルメットで、他には胸部・腹部・腰・膝・肘などのプロテクターがあります。
これらプロテクターは安全意識の向上から徐々に普及してきましたが、2022年の統計では比較的普及してきた胸部プロテクターでも、着用率は約9%という低い水準です。認知度の低い脊椎プロテクターは、さらに普及が遅れていると言っていいでしょう。
首から腰までの脊椎は、重要な骨格部位であると共に、たくさんの神経が通っています。
ケガの程度によっては取り返しのつかないことにもなり得るでしょう。
今回は、ヘルメットや胸部プロテクターにも劣らない重要性のある脊椎プロテクターについて解説していきたいと思います。
参考:警視庁
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バイク乗車時に脊椎プロテクターが必要な理由
転倒や事故の際、ライダーの体は対象物や路面から激しい衝撃を受けますが、プロテクターはその衝撃を吸収し和らげてくれます。 次に、脊椎プロテクターが必要な理由とプロテクション性能について解説します。
事故による脊椎へのダメージを軽減するため
脊椎とはいわゆる「背骨」であり、頚椎(首)・胸椎(背中の上部)・腰椎(背中の下部)からできています。
また脊椎の中には大切な神経が通っています。 そのため脊椎を損傷すると、猛烈な痛みに襲われることがあります。
そしてケガの程度が軽くてもむち打ち症、重度の場合は、脊髄や神経が傷ついてしまうため、足が痺れたり、歩行が困難になったりするなど、後遺症が残る可能性もあります。
最悪の場合、頸椎に重大な損傷を受けて死亡することになってしまいます。
内閣府が発表している2020年の「交通安全白書」では、四輪車での死亡率0.4%に対してバイクでは1.3%と3倍、重傷者に至っては5倍以上にも及びます。
体の「大黒柱」である脊椎を守ってくれる脊椎プロテクターの重要性は、まさにここにあります。
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脊椎プロテクターの選び方
脊椎プロテクターには、さまざまな機能やタイプ、サイズがあります。 多くのプロテクターのうちから、ご自分に合ったプロテクターをどのような観点で選んだらいいかを解説します。
通気性のある熱を逃がす構造
脊椎プロテクターにおいてまず大切なのは、通気性です。
なぜなら脊椎プロテクターは背中にフィットする作りとなっているため、通気性がないと夏や長時間の使用では熱がこもってしまいます。
通気性は夏のライディングの快適さに大きく関係してきます。
通気性をよくしようと大きいプロテクターにしてしまっては、走行中や衝撃を受けた際にずれてしまったりと、肝心の性能を発揮できなくなってしまうでしょう。
メッシュ構造になっている通気性と強度を兼ね備えたプロテクターを選びたいものです。
自分に合った脊椎プロテクターを選ぶ
脊椎プロテクターの形状には、2つのタイプがあります。
1つは単体で背負う背負式で、亀の甲羅を背負うイメージと思えばいいでしょう。
脊椎と背中をカバーする楕円形のプロテクターについているストラップで肩にかけます。
下にはお腹に回すベルトがあり、肩のストラップと合わせてフィットさせます。
プロテクション性能が高く、どんなジャケットにも合わせることができますが、着脱の手間はかかります。
もう1つはジャケットの背中につける挿入式で、ジャケットの背中にあるポケットにプロテクターを挿入するタイプです。
プロテクター着脱の手間はかからず、通気性も比較的よいですが、ジャケットの背面ポケットサイズがプロテクターに合っている必要があります。
保護範囲の広さ
脊椎プロテクターの保護性能を決める大切な要素は、プロテクターが保護する範囲です。脊椎を中心とした狭い範囲を保護するものよりは、背中を広く保護するプロテクターのほうが優れています。
形状としては、頚椎から腰椎部分まで縦に長く、横方向にも広い範囲をカバーしているプロテクターがベスト。
またプロテクターによっては、中央部分の厚みはあっても両端は薄く作られているものもあります。
場所によってプロテクターの厚みに差がなく、均一なものを選ぶのがいいでしょう。
素材についても同様で、中央から端の部分まで同じ素材でできているものがベストです。
プロテクターの性能
プロテクターを選ぶ際は、CE規格を満たしたCEマーキングがある製品を選びたいものです。
CE規格とは1993年にスタートした制度で、EUの法律で定められた安全性能基準を満たす製品にCEマークを表示するものです。
脊椎プロテクターにおけるCE規格はEN1621-2という番号で定められ、レベル1とレベル2があります。ちなみに胸部はEN1621-3、バイクウェアはEN13595という番号が振られています。
試験方法はストライカー(重り)を落下させ、プロテクターを通して伝わる衝撃を測定します。衝撃吸収の度合いによりLevel1とLevel2に分類されます。
Level 1とLevel 2では、Level 2の方がLevel 1より2倍の衝撃を吸収するため、より安全性が高いとされています。
なお、肩・肘・膝プロテクターよりは胸部プロテクターのほうが要求レベルは高くなり、脊椎プロテクターはさらに高くなります。
CE規格においては、人の生命維持にとって大切な部分のほうが高い強度を求められているということになります。
おすすめのバックプロテクター挿入式3選
ここで、絶対の自信をもっておすすめできるダイネーゼ製バックプロテクターをご紹介します。
ダイネーゼ製プロテクターは、脊椎用というよりは、脊椎も含め広範囲をプロテクトしています。
最初に、比較的低価格で、複数のジャケットに使えるのが特徴の挿入式プロテクターを3点をご紹介。
PRO-ARMOR G2 2.0
ジャケットにバックプロテクター用ポケットがあれば、装着が可能です。
全てのサイズのレディースジャケットと、サイズ48までのメンズジャケットに装着できます。
素材は、発泡ニトリルラバーの軽い素材です。
全体は、楕円形の一体成形とすることで堅牢性と薄さを確保。
また表面の43%をメッシュ構造とすることで、優れた通気性も確保。
メッシュは三角形と六角形を組み合わせた形でできており、軽さと耐衝撃性という、相反する機能を持たせています。
欧州のCE認証のレベル2に適合しており、2017年にはデザインとテクノロジーによってゴールデンコンパス賞を受賞している優れたプロテクターです。
安全規格 | バックプロテクター(欧州安全基準CE - Cat. II - EN1621.2/2014 Level 2適合) |
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温度調整 | パンチングメッシュ構造 |
主な素材 | 発泡ニトリルラバー |
PRO-SHAPE G2
ダイネーゼ製の中でリーズナブルな価格の脊椎プロテクターです。
素材は発泡ニトリルラバー、形はきれいな楕円形で、表面の30%がメッシュ構造となっています。
メッシュの穴は、丸・六角形・三角形を組み合わせることで、通気性と軽さ、プロテクション性を実現させています。
欧州安全基準のCE - EN1621-2 のLevel 1適合品です。
発砲ニトリルラバーは一般的には柔らかい素材ですが、PRO-SHAPE G2では一体成形とすることで十分な強度を持たせています。
CE9基準に適合しているのがその証拠です。
バックプロテクターポケットがあれば、どのジャケットにも装着することができます。
リーズナブルな価格ですから、夏用ジャケット用に1つ、冬用に1つ購入しておくと脱着の手間が省けて便利だと言えます。
安全規格 | バックプロテクター(欧州安全基準CE - EN1621-2 Level 1適合) |
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温度調整 | パンチングメッシュ構造 |
主な素材 | 発泡ニトリルラバー |
PRO-SPEED G3 - FOR COMPATIBLE JACKET
ライダーの身長が180cm以上の場合にフィットするサイズとなっています。
素材はアルミニウムと硬質素材で、パンチングメッシュ構造とすることで強度と通気性を確保しています。
全体の28%が通気性に優れたメッシュ構造となっています。
28%というと、他の脊椎プロテクターから比べて低い数値ですが、アルミニウム製のため熱を吸収。
それにより、28%という数値より涼しく感じられるでしょう。
また特筆すべきは、縦横両方向に可動性があることです。
プロテクターは上下方向に4つに分割されており、ライダーが前傾姿勢を取っても体にフィットする構造となっています。
左右へのフレキシビリティもあるため、走行中にライダーの姿勢が変化しても、高いプロテクション性能を実現しています。
安全規格 | バックプロテクター(欧州安全基準CE - Cat. II - EN1621.2 Level 2適合) |
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温度調整 | パンチングメッシュ構造
全体の28%が通気性に優れたメッシュ素材 |
主な素材 | ハニカムアルミニウム構造 |
おすすめのバックプロテクター背負式3選
背負式プロテクターは、プロテクターをジャケットではなく体に直接フィットさせるタイプです。挿入式よりもプロテクション性能は高く、頸椎から腰椎までをカバーします。 ベルトが2本あるため装着には手間がかかりますが、安全性は非常に高いです。
PRO-ARMOR BACK SHORT 2.0
欧州安全基準CE - Cat. II - EN1621.2/2014 Level 2に適合したショートバージョンの脊椎プロテクターです。
発泡ニトリルラバーの素材を使ったパンチングメッシュ構造で、プロテクターは上下方向に5分割されています。
このため、ライダー姿勢の縦方向への伸縮・屈曲と、左右方向への屈曲にプロテクターがフレキシブルに追随します。
基本的には肩のストラップと腰バンドで固定しますが、ライダーのチョイスにより両方とも取り外しが可能。
本格的にサーキットやモトクロス走行をする場合には、必須のアイテムだと言えます。
また一般道を走る場合でも、優れたプロテクション性能に変わりはありません。
安全規格 | バックプロテクター(欧州安全基準CE - Cat. II - EN1621.2/2014 Level 2適合) |
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温度調整 | パンチングメッシュ構造 |
主な素材 | 熱可塑性ベアリング 発泡ニトリルラバー |
PRO-SPEED BACK – SHORT
ダイネーゼの新作脊椎プロテクターで欧州安全基準CE - Cat. II - EN1621.2 Level 2に適合しています。
硬質素材とアルミハニカムを組み合わせた構造で、全体の28%が通気性に優れたメッシュ素材です。
アルミニウムは熱吸収性が高いため、28%の通気性であっても十分な冷却効果があります。
プロテクター本体は上下方向に5分割された堅牢な作りで、硬質素材がエルゴノミックなカーブ成形でデザインされています。
縦横両方向に可動性があるため、プロテクターは常にライダーの脊椎にフィットし、保護性能を発揮します。
腰バンドと肩ストラップは取り外しが可能で、ライダーの好みや走行状況に応じてチョイスできます。
安全規格 | バックプロテクター(欧州安全基準CE - Cat. II - EN1621.2 Level 2適合) |
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温度調整 | パンチングメッシュ構造 全体の28%が通気性に優れたメッシュ素材 |
主な素材 | ハニカムアルミニウム構造 エルゴノミックデザインの快適なパッド |
PRO-ARMOR SAFETY JACKET 2.0
一見、普通のバイクジャケットですが、胸・肩・肘・背中にPro-Armorソフトプロテクターを装備したメッシュ素材のセーフティジャケットです。
素材は、パンチングメッシュファブリックと通気性のあるファブリックを使用しています。
胸部と背中に採用された非常に軽量な新素材 ”Xelion 2.0”も柔軟性に富んでいます。
夏季にはこのジャケットだけで、また夏以外の季節には他のジャケットの下に着ることで、ライダーの上半身は優れたプロテクション性能が確保されます。
手首とウエストは調節可能で温度調節に一役買っています。
夏季使用のために、外側にはポケットが2つついています。
脊椎へのプロテクション性能を含め、これ1着だけで上半身の必要な部分を保護してくれる、優れたジャケットになっています。
安全規格 | ・肩に着脱可能なPro-Armorプロテクター(欧州安全基準CE - EN 1621.1 Level 2 Type B適合) ・肘に着脱可能なPro-Armorプロテクター(欧州安全基準CE - EN 1621.1 Level 2 Type B適合) ・Pro-Armor 2.0 バックプロテクター(欧州安全基準CE - EN1621.1 Level 2適合)含む ・Pro-Armor Chest 2 PCS 2.0 Protector certified according to EN1621-3 Level 1 |
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サイズ | XS~XXXL |
温度調整 | パンチングメッシュファブリック 通気性のあるファブリック |
主な素材 | メッシュファブリック
サイドにMini-net bielasticファブリック |
まとめ
頸椎から腰椎までの脊椎は体の中心であり、生命維持や手足の運動機能にかかわる神経がたくさん通っています。
腰は、文字通り体の「要(かなめ)」でもあるのです。
バイクが転倒してケガをした場合、頭や胸部が生命にかかわることはもちろん、脊椎も生命維持には深く関係してきます。また神経が損傷してしまうと、その後の生活の質も大きな影響を受けるでしょう。
それを守るのが脊椎プロテクターにほかなりません。
ご紹介したダイネーゼは、世界で初めてバイク用プロテクターを開発したメーカーです。
長年にわたる技術の蓄積は、ダイネーゼ製プロテクターにも生かされています。 脊椎も含めた背中を広く保護してくれるダイネーゼのバックプロテクターによって、あなたのバイクライフは一層安全で快適になることでしょう。
※記事内の価格、情報は全て作成時点のものです。最新の情報は各ブランドページをご確認ください。
株式会社ユーロギア
記事作成 ユーロギア編集部
「モーターサイクル」「スキー」「自転車」等、アクティブスポーツを楽しむ方のためのセーフティギアを取り扱い。海外の複数スポーツブランドの総代理店として、全国に専門店を展開中。他、これらのスポーツを楽しむためのイベント開催も。
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